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ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 15d0150 3

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15- D- 0150 201 5 年 5 月 2 7 日

総合重機各社の 15/ 3 期決算の

注目点

総合重機6 社(住友重機械工業、三井造船、日立造船、三菱重工業(三菱重工)、川崎重工業(川崎重工)、 IHI)の15/ 3 期決算および16/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J C R)の現況に関する認識 と格付上の注目点を整理した。

1.

業界動向

総合重機各社の事業動向は総じて堅調である。船舶海洋分野では、懸念材料であった新造船事業で受注の 獲得が進んだ。円高の修正に伴う競争状況の改善やエコシップに対するニーズなどがその背景である。相応 の仕事量が確保された中、一段の円安が収益の好転要因になっている。ただ、新造船市場には依然として大 きな需給ギャップが存在するとみられる。足元における新造船の受注環境は再び軟化している他、収益面で は円安メリットの享受も大きく、先行きの見通しについては予断を許さない。また、各社が注力してきた海 洋資源開発関連の事業は、ブラジル国営石油会社ペトロブラスの汚職疑惑や原油安の影響を受けている。

航空宇宙分野は好調が持続している。民間航空機の堅調な需要動向、円安、各社の生産効率改善などが相 まって、15/ 3 期も同分野が各社の収益をけん引したとみられる。三菱重工と川崎重工はボーイング向けの分 担生産品、IHI はボーイングやエアバスの航空機に搭載されるエンジン向けのモジュールや部品が代表的な 製品であり、これら製品の販売が好調だった。IHI などが手掛けるエンジン関連の製品は新設用に加え、ス ペアパーツ用の需要もある。一方、三菱重工が量産を目指す小型ジェット機 MRJ は、15年 4月に再度初飛 行のスケジュール変更が発表されたものの、量産に向けた準備が進められつつある。

陸上分野は世界経済が緩やかな改善基調で推移する中、総じて堅調な事業動向にある。長納期受注型事業 では、原子力関連の事業などで厳しさが残る一方、その他の発電関連プラントなどは底堅い需要がある。量 産型事業の収益環境も景況感の改善を受けて総じて良好である。

2.

決算動向

15/ 3 期の受注高は6 社合計で 10. 2 兆円(前期比21. 4%増)と力強い伸びを示し、2 期連続で増加した。 個社別では、6社のうち 5社で増加しており、受注高が減少した三井造船も高水準だった。分野別では、航 空宇宙分野の好調が持続しており、船舶海洋分野も期の前半を中心に堅調な受注動向となった。一方、16/ 3 期の受注高は6 社合計で10.1 兆円(前期比1. 8%減)と減少に転じる見通しである。新造船、海洋資源開発 関連といった船舶海洋分野などで受注環境が軟化している。ただ、受注高は前期に続き 10 兆円を超える見 通しであるなど、総じて良好な受注環境が想定されている。

15/ 3 期の売上高は6 社合計で8.8 兆円(前期比14. 6%増)、営業利益は同 5, 188 億円(同31.7%増)とな った。売上高、営業利益とも過去最高の水準である。個社別では6 社全社が増収。三井造船を除く5 社が営 業増益となり、三菱重工と川崎重工の 2社が過去最高の営業利益を計上した。一方、三井造船はエンジニア リング部門において特定の化学プラント工事の採算が大幅に悪化したことが響いた。16/ 3 期の売上高は 6 社 合計で9. 3 兆円(前期比6.3%増)、営業利益は同6, 000 億円(同15. 7%増)と3 期連続の増収、4 期連続の 営業増益予想であり、好調な業績が継続する見通しである。個社別では、全社が増収、営業増益を予想して いる。三井造船は海洋資源開発関連などで収益が厳しくなるものの、エンジニアリング部門の収益改善を主 因に営業増益に転じる予想である。

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している。積極的な設備投資などもあり有利子負債は前期末からやや増加したものの、高水準の純利益創出 や円安に伴う為替換算調整勘定の好転などにより、自己資本の増加が顕著だった。一方、個社別に見ると、 前期末から財務構成をやや悪化させたメーカーもあった。

3.

決算に

格付上の

注目点

15/ 3 期決算では、航空宇宙分野の好調が持続するなど、総じて堅調な業績動向が確認できた。航空宇宙 分野では、IHI が期初において、次世代航空エンジンに係る研究開発費の増加などを理由に、航空・宇宙・ 防衛部門の営業減益を予想していたものの、結果的に同部門は営業増益で着地している。船舶海洋分野では、 新造船や舶用原動機の収益環境に依然厳しさが残るものの、持ち直しの動きが出つつある。ただ、海洋資源 開発関連では、ブラジル国営石油会社ペトロブラスの汚職疑惑や原油安の影響を受けており、引き続き注視 が必要である。

一方、各社の 15/ 3 期決算では、長納期受注型事業の特定プロジェクトにおいて工事遅延などに対する対 策費用の計上が相次いだ。具体的には、三菱重工の客船、三井造船の化学プラントなどである。三菱重工は 客船の設計作業や工程遅延などを理由に関連損失を特別損失に695 億円計上。同様の損失を前期にも641 億 円計上しており、同損失は2年間で1, 300 億円を超えた。また、三井造船は米国化学プラントの工事遅延な どを理由に約 80 億円の受注工事損失引当金繰入額を売上原価に計上した。これらの影響でエンジニアリン グ部門の営業損失は 106 億円に拡大し、15/ 3 期における営業減益の主因になった。総合重機業界では、過去 にこうした長納期受注型事業で多額の損失を計上し、リスク管理・プロジェクト管理を強化してきた経緯が あるものの、依然として、こうした対応が十分ではないことを示唆する内容になっている。J C R は、長納期 受注型事業における受注時採算、コンティンジェンシーの織り込み度合い、リスク管理態勢の整備状況など を継続フォローしていく。

また、ブラジル国営石油会社ペトロブラスの汚職疑惑などによる影響も決算に出始めている。IHIは 15/ 3 期に関係会社事業損失として 291 億円を特別損失に計上した。これは、IHI の持分法適用関連会社でペトロ ブラスからドリルシップやタンカーを受注しているアトランチコスル造船会社(E A S)の財政状態と資金繰 りの悪化を反映したものである。具体的には、E A S への出資に係る損失 76億円、E A S 関連の保証債務見合 い 194 億円などがその内容である。IHI は今後も海洋資源開発関連の事業を慎重に進める方針だが、当面の 間は当該関連損失の最小化を図るとしている。一方、川崎重工はブラジルにおけるドリルシップ建造などの 合弁事業について、事業の継続に問題はないとの見解を示した。ペトロブラスの汚職疑惑などを受け、合弁 会社である E nseada の経営に影響が生じているものの、合弁パートナーが同社に対して資金繰りなどの支援 を行っていることをその理由に挙げている。なお、三井造船の子会社である三井海洋開発は、浮体式海洋石 油・ガス設備(F PSO/ F SO)などを手掛けており、ペトロブラスが主要顧客となっている。今後、同社の事 業や業績に悪影響が及ばないか注視していく必要がある。

このように斑模様の部分はあるものの、16/ 3 期も総合重機各社の堅調な事業動向と業績動向はおおむね 維持されるとみられ、6 社合計の 16/ 3 期決算は大きな問題なく推移しそうだ。一方、良好な事業環境が継続 する中、設備投資や投融資を積極化させるなど、攻めの経営に転じるメーカーが増えてきている。15/ 3 期決 算において財務構成をやや悪化させたメーカーも出ており、各社の収益と財務のバランスが過度に悪化する ことがないか、引き続き注視していく。

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(図表 1)各社の受注高と収益 (単位:億円)

決算期 受注高 売上高 営業利益 当期純利益

住友重機械工業 (6302)

14/ 3 期 6, 582 6, 153 343 179

15/ 3 期 7, 408 6, 671 460 243

16/ 3 期(予想) 7, 100 7, 000 525 300

三井造船 (7003)

14/ 3 期 11, 078 6, 701 200 429

15/ 3 期 9, 598 8, 165 133 95

16/ 3 期(予想) 9, 100 8, 300 220 130

日立造船 (7004)

14/ 3 期 3, 284 3, 334 79 37

15/ 3 期 4, 528 3, 593 128 51

16/ 3 期(予想) 4, 500 3, 700 135 55

三菱重工業 (7011)

14/ 3 期 34, 201 33, 496 2, 061 1, 604

15/ 3 期 46, 991 39, 921 2, 961 1, 104

16/ 3 期(予想) 47, 000 42, 000 3, 200 1, 300

川崎重工業 (7012)

14/ 3 期 14, 555 13, 855 724 386

15/ 3 期 17, 130 14, 861 873 516

16/ 3 期(予想) 16, 800 16, 500 1, 020 690

IHI (7013)

14/ 3 期 14, 590 13, 040 533 331

15/ 3 期 16, 644 14, 558 633 91

16/ 3 期(予想) 16, 000 15, 800 900 490

6 社合計

14/ 3 期 84, 289 76, 579 3, 939 2, 966

15/ 3 期 102, 298 87, 770 5, 188 2, 100

16/ 3 期(予想) 100, 500 93, 300 6, 000 2, 965

(出所:各社決算資料より J C R 作成)

(図表 2)各社の財務 (単位:億円、%)

決算期 自己資本 有利子負債 自己資本比率

住友重機械工業

14/ 3 期末 3, 264 1, 074 45. 1

15/ 3 期末 3, 601 836 45. 8

三井造船

14/ 3 期末 2, 204 1, 878 23. 6

15/ 3 期末 2, 367 1, 883 22. 0

日立造船

14/ 3 期末 1, 003 1, 035 26. 4

15/ 3 期末 1, 088 1, 182 26. 6

三菱重工業

14/ 3 期末 15, 434 9, 575 31. 6

15/ 3 期末 17, 808 9, 756 32. 3

川崎重工業

14/ 3 期末 3, 630 4, 421 23. 4

15/ 3 期末 4, 320 4, 121 26. 0

IHI

14/ 3 期末 3, 452 3, 395 23. 1

15/ 3 期末 3, 458 3, 935 20. 5

6 社合計

14/ 3 期末 28, 989 21, 378 29. 1

15/ 3 期末 32, 641 21, 713 29. 3

(注)有利子負債は社債・C P・借入金を対象 (出所:各社決算資料より J C R 作成)

【参考】

発行体:住友重機械工業株式会社

長期発行体格付:A 見通し:安定的

発行体:三井造船株式会社

長期発行体格付:BBB+ 見通し:安定的

発行体:日立造船株式会社

長期発行体格付:BBB 見通し:安定的

発行体:三菱重工業株式会社

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発行体:川崎重工業株式会社

長期発行体格付:A 見通し:安定的

発行体:株式会社 IHI

長期発行体格付:A - 見通し:ポジティブ

■留意事項

本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また

はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、

的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また

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■本件に関するお問い合わせ先

参照

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